
先日、ニューヨークファッション工科大学・FITのミュージアムで開かれているダフネ・ギネスのエキシビションに足を運んで参りました。あのギネス・ビールの子孫にあたるダフネは、カールラガーフェルド、アズディン・アライア等様々なファッションデザイナーのミューズと呼ばれ、現在のファッションカルチャーを代表するアイコンの一人。はじめは自身のコレクションを公にすることを渋っていたというダフネですが、「生徒のためになるなら」という理由で、2年間をかけてこのエクシビションを実現するまでに至ったそう。デザイナーに焦点を当てるエクシビションは多いものの、現存するファッション・アイコンが自身の私物を公開するというのは非常に稀な例。彼女のコレクションがどれだけコンテンポラリーファッションの中で深い意味を持つかが伺えます。

写真撮影が禁止だったため、あまりフォーカスが合ったショットが撮れておりません!エキシビションは各テーマに別れて展示されていました。ありきたりな表現かもしれませんが、ダフネのコレクションは、洋服の粋を越えた衣装という美術品。寵愛するアレキサンダーマックイーン、シャネルの作品をはじめ、ガレス・ピューやホーガン・マックランリンなど新鋭のデザイナーをピックアップしているのも印象的でした。それぞれテーマ別に展示されていた洋服ですが、カテゴリーは違うものの、全てに通じるダフネ・ギネスの「美しいものを愛する」というシンプルでぶれない美学がひしひしと伝わってきました。まっすぐに貫かれた斬新でアバンギャルドなスタイルは、“奇抜で派手”という領域と一線を画した、どこかに気高さと品を感じるコレクションでした。

世界観に対して一瞬の妥協も許さないストイックさを本人がそのまま体現していることが、彼女を唯一無二の存在にしている理由だと思います。その存在は、まるでファンタジーの世界からそのまま抜け出してきたよう。デザイナーコレクターはたくさんいるものの観賞用に収めずに実際に身に付け、驚くほど似合ってしまうという素晴らしさ。「私はイベントによって着飾るようなことはしません。毎日がイベントだからです。」と公言するように、いつでも360度完璧な出で立ちは、私たちをこれからもきっと楽しませてくれることでしょう!これだけの数が手元から離れていて、着るものあるのかな?という気持ちになりましたが、きっと彼女は今日もどこかで女王のように素晴らしいクチュールに身を包んでいるはず。美しいものに囲まれて、シンプルに楽しめるエクシビションでした。1月7日まで開催中なので、ニューヨークに訪れる機会のある方はぜひ足を運んでみてください!
Museum at the Fashion Institute of Technology
Seventh Avenue at 27 Street
New York City 10001-5992 地図)